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HBOCの遺伝学的検査

1.BRCA1, BRCA2 遺伝学的検査とは

① 遺伝学的検査とは

  • 遺伝性のがんの可能性が考慮される際、その原因となっている遺伝子に変化があるかどうかを調べる検査です。遺伝子の変化が見つかった場合には、その変化ががんの発症と関連するものなのかどうかを判定します。
  • 生まれたときから持っている遺伝情報を調べるため、生活習慣等を変えても、遺伝子の状態は変わりません。

② 方法と所要日数

  • 体中の細胞はすべて同じ遺伝子の情報を持っています。通常、遺伝子の検査には採血した血液を使用します。
  • 検査結果が届くまでの所要日数は、検査内容や検査会社によって異なります。

③ 検査の限界

  • BRCA1,BRCA2遺伝子に変化が見つからない場合でも、今の技術では見つけることができない変化がある可能性がありますが、きわめて低いと考えられています。
  • また、BRCA1,2遺伝子以外の遺伝子の変化ががんの発症と関連している可能性もあります。
  • 遺伝子に病的バリアントが見つかった場合でも、実際にがんを発症するかどうかや発症時期を予測することはできません。

④ 費用

  • BRCA1,BRCA2遺伝学的検査は、保険診療で行われる場合と保険外(自費)診療で行われる場合があります。
    保険診療の場合、3割負担の方で、自己負担は約6万円です。
  • 保険外診療で受ける場合、費用は医療機関によって異なります。医療スタッフにご確認ください。

BRCA1,BRCA2遺伝学的検査が保険適用となる場合

BRCA1,2遺伝学的検査が保険適用となるのは、乳がんあるいは卵巣がんを発症していて、HBOCの可能性が考慮される場合です。青字のいずれかにあてはまる場合は保険適用となります。

  • 45歳以下で乳がんと診断された
  • 60歳以下でトリプルネガティブの乳がんと診断された
  • 両側の乳がんと診断された
  • 片方の乳房に複数回乳がん(原発性)を診断された
  • 男性で乳がんと診断された
  • 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された
  • 腫瘍組織によるがん遺伝子パネル検査の結果、BRCA1,2遺伝子の病的バリアントを生まれつき持っている可能性がある場合
  • ご自身が乳がんと診断され、血縁者*に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる
  • ご本人が乳がん、卵巣がん、腹膜がんのいずれかを診断されていて、かつ血縁者がすでにBRCA1,2遺伝子に病的バリアントを持っていることがわかっている場合

*血縁者の範囲:父母、兄弟姉妹、異母・異父の兄弟姉妹、子ども、おい・めい、父方あるいは母方のおじ・おば・祖父・祖母、大おじ・大おば、いとこ、孫など

(資料7)

  • 上記に当てはまらなくても医師の判断によりHBOCの可能性が考えられることがあります。
    その場合、BRCA1,2遺伝学的検査は保険が適用されず自費診療となります(2020年5月時点)。
  • 血縁者がすでにBRCA1,2遺伝子に病的バリアントを持っていても、ご本人が乳がんあるいは卵巣がん、腹膜がんのいずれも診断されたことがない場合は、保険適用となりませんが、専門家などに相談することをお勧めします。
  • 既往歴や家族歴によって、HBOC以外の「遺伝性のがん」の可能性が考慮される場合もあります。専門家や主治医にご相談ください。

⑤ 遺伝学的検査の手順

  • 遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の可能性が考慮される場合、通常、家系内で乳がんあるいは卵巣がんなど、HBOCと関連するがんを発症したことがある方が、BRCA1BRCA2遺伝子の全塩基配列を解析します。その方に病的バリアントが認められた場合のみ、血縁者(がんの未発症者を含む)が同じ変化(病的バリアント)を持っているのかどうかを確認することができます。
  • 病的バリアントの種類、すなわち変化の仕方や変化が起きている場所は家系ごとに異なります。
  • HBOCに関連するがんを発症した方の遺伝子を調べることが難しい場合は、がんを発症していない方が最初に調べることもできますが、結果の解釈は限定的になります。検査を受ける前に、結果の意味や限界について医療者とよく話し合いましょう。

BRCA1,BRCA2遺伝学的検査の流れ

家系の中で最初に検査を受ける方(Aさん)
BRCA1BRCA2遺伝子をすべて調べる
病的バリアントが認められた(陽性)意義不明のバリアント(VUS)が認められた病的バリアントは認められなかった(陰性)
血縁者→Aさんと同じ病的バリアントの有無を確認する(特定部位の解析)
病的バリアントあり(陽性)病的バリアントなし(陰性)

⑥ 検査結果

◆家系内で最初に検査を受ける方の検査結果

家系の中で最初にBRCA1,2遺伝学的検査を受ける方は、これらの遺伝子の全塩基配列を調べます。その結果は、大きく3通りに分けられます。

結果説明
病的バリアントを認めませんでした(陰性)今の解析技術でわかり得る範囲で、調べた遺伝子の病的バリアントは認められませんでした。
今回の検査結果で、遺伝性のがんを完全に否定するものではありません。あなたの既往歴や家族歴に応じて、今後の健康管理について話し合われます。HBOC以外の遺伝性のがんの可能性について検討する場合もあります。
判断できない変化(バリアント)を認めました(VUSBRCA1,BRCA2遺伝子に変化(バリアント)が見つかりましたが、これが乳がんや卵巣がんなどの発症と関連するかどうかは、現時点では判断できません。
この検査結果の場合、通常は血縁者の遺伝学的検査は行いません。検査結果は参考にせず、既往歴や家族歴を踏まえて、今後の健康管理について話し合われます。
将来、がんの発症リスクを高めるような変化なのか、あるいはがんの発症とは関連のない変化なのかがはっきりする可能性があります。
病的バリアントを認めました(陽性)HBOCの確定となります。この結果を踏まえて、治療や予防方法について検討していきます。 血縁者も同じ病的バリアントを持っている可能性があります。
◆HBOCと診断された方の血縁者の検査結果

すでにHBOCと確定している方の血縁者は、同じ変化(病的バリアント)があるかどうか、遺伝子の同じ場所のみ(特定部位)を解析します。結果は、以下のいずれかで示されます。

結果説明
病的バリアントを認めました(陽性)血縁者と同じ変化が確認されました。HBOCの確定となります。
病的バリアントを認めませんでした(陰性)血縁者と同じ変化は受け継がれませんでした。他の遺伝性のがんの可能性が低い場合、乳がんや卵巣がんなどの発症リスクは、一般のリスクとほぼ同じと考えられます。一般的ながん検診をお勧めします。
遺伝学的検査は何歳から受けられますか?
HBOCの場合、がんを発症するのは20代以降と言われています。そのため原則、未成年の方に対してはBRCA1,BRCA2遺伝学的検査は行われていません。成人してから、自分で考えて、遺伝学的検査を受けるかどうかを決めることが大切です。

2.BRCA1, BRCA2 遺伝学的検査で陽性となる確率

BRCA1,BRCA2遺伝学的検査を受けた方が陽性(HBOC)と診断される確率は、その方のがんの発症年齢や家族歴によって異なります。
データは今後のデータの集積により変わる可能性があります。
詳しいデータはパンフレット「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために」をご覧ください。

3.遺伝学的検査を受ける前に

  • 遺伝学的検査を受ける目的や動機は、おひとりおひとり違います。あなたにとっての目的、検査を受けることで得られる利益、予想される不利益など、十分に考えておくことが大切です。
  • 遺伝学的検査を受けて分かること、分からないこと、検査結果にどう対応するか、どのような影響が生じる可能性があるかなど、よく考えた上で、ご自身で受けるかどうかを決める検査です。
  • 今は遺伝学的検査を受けないと決めたとしても、あとで気持ちや考えが変わったとき、将来、あなたやあなたの家族を取り巻く環境や状況が変わったときなど、受けたいと思ったときにいつでも受けることができます。
検査結果を受け取ったら、私はどう感じるかな?検査結果は、子どもにどんなふうに伝えようか。遺伝学的検査を受けることによる不利益は?遺伝学的検査を受けない場合はどんな対策を立てていったらよいだろうか。
遺伝学的検査を受けない場合は?
遺伝性のがんが疑われる場合には、個々の状況(家族歴や既往歴など)を鑑みて、対策を検討します。遺伝学的検査を受けないことによるメリットやデメリットを検討し、どのような対策が立てられるのか、医師や遺伝カウンセラー等と話し合いましょう。