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がんと遺伝

1.がんの発症と遺伝

  • 2人に1人が生涯で一度はがんを発症するといわれています。
  • 日本で、1年間で新たに乳がんと診断されるのは約94,800人、卵巣がんは13,400人です。
    (2016年、資料1)
  • がんは様々な要因によって発生するといわれていますが、大きく分けて「環境要因」と「遺伝要因」が関わっています。
  • 環境要因(たばこ、お酒、食べ物、 ホルモン、感染など)
  • 遺伝要因(生まれた時から持っている遺伝子の変化)
  • 遺伝要因、すなわち生まれ持った「遺伝子の変化」ががんの発症しやすさと強く関わっていることを遺伝性のがん(遺伝性腫瘍)といいます。
  • もともと持っている遺伝子の変化は、下の世代に受け継がれることがあります。
  • 変化のある遺伝子の種類によって、がんの発症を起こしやすい部位(臓器)やがんの発症率は異なります。
名称遺伝子関連するがん
遺伝性乳がん
卵巣がん症候群
BRCA1,BRCA2乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなど
リンチ症候群MLH1,MSH2,MSH6,PMS2,EPCAM大腸がん、子宮体がん、胃がん、尿路系上皮がん、卵巣がんなど
リー・フラウメニ症候群TP53軟部組織肉腫、骨肉腫、脳腫瘍、副腎皮質がん、乳がん(閉経前)など
カウデン症候群PTEN乳がん、子宮体がん、甲状腺がん、大腸がん、腎細胞がん
伝性びまん性
胃がん
CDH1びまん性の胃がん、乳がん(小葉癌)

2.がんの家族歴

  • 「遺伝性のがん」の可能性があるかどうか判断する時に、がんの家族歴、すなわちご自身や血縁者のがんの発症状況が参考になります。
  • 血縁者にがんを発症した方がいる場合には、発症部位診断された時のだいたいの年齢がわかると、遺伝性のがんの可能性を判断する際に役立ちます。
がんの家族歴
  • 近い血縁者ほど、遺伝情報を共有している割合が大きいと言えます。

遺伝情報の共有と「近親度」

第1度近親者:父母、きょうだい、こども(遺伝情報を50%共有する関係)
第2度近親者:祖父母、おじ、おば、おい、めい、孫、異父きょうだい、異母きょうだい(遺伝情報を25%共有する関係)
第3度近親者:曾祖父母、大おじ、大おば、いとこなど(遺伝情報を12.5%共有する関係)

3.遺伝子とは

  • 遺伝子は、人の体の「設計図」のようなものです。ヒトは22,000種類の遺伝子を持っていると言われています。遺伝子には体を作るための情報や体の機能を維持するための情報が含まれています。遺伝子の情報は、基本的には人類でほとんど共通していますが、ひとりひとりで遺伝子の中身に少しずつ違いがあることが特徴です。この違いをバリアント(変化)といいます。
遺伝子の情報

4.親から子どもへの遺伝

  • 私たちはほとんどの遺伝子を2つ1組でもっています。父親から1つ、母親から1つ、受け継いでいます。
  • 親のどちらかが病的バリアントを持っている場合、それが子どもに受け継がれる確率は、性別に関わりなく、2分の1(50%)の確率です。

5.BRCA1 遺伝子とBRCA2 遺伝子

  • HBOCに関わっているBRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子は、誰もが持っている遺伝子です。
  • これらの遺伝子から作られるタンパク質は、DNAが傷ついたときに正常に修復するなどの働きがあります。
  • この「BRCA1遺伝子」あるいは「BRCA2遺伝子」に病的バリアント*があって、タンパク質が作られなかったり、働かなかったりすると、傷ついたDNAの修復ができず、さらに他の遺伝子の変化が起きやすくなってがんを起こしやすくなります。
    *明らかにがんの発症と関連のあるような変化を「病的バリアント」と呼びます。
  • これらの遺伝子のどちらかに生まれつき病的バリアントがあることを「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と言います。